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「七人の筆侍」を考える
著名な文化人の方達に「七人の筆侍」ついて考えていただきます。




●では「七人の筆侍」について考えてください。(司会進行役・田原総二郎)

有名作家A: わかりました。忙しい身ですが、この際考えてみましょう。

作曲家B : しかし何をどう考えて良いのかね。そもそも彼ら「七人の筆侍」のことはここに来る車の中で簡単な資料を手渡されただけで何ひとつ解っちゃいないんだよな。ははは。

政治家C : わたしが思うにはだな。彼らが筆を持った侍とする意味がもうひとつ理解できないんだが。そこらへんは一体どうなのかね。

評論家D : それは侍精神で挿絵を描くということじゃないんですか? だとすればですよ。
もし彼らの描いた挿し絵をクライアントが気に入らなかったとしたら。一旦出した物をすごすごと引っ込められないでしょうから彼らはいったいどうするんでしょうかね。。侍らしく切腹するんですか?それとも侍精神に反して描き直し?もしくはおめおめと修正に応じるんですか?

政治家C : それでは侍じゃないじゃないか!筆侍とは言えんだろうが!

作曲家B : まあまあ、落ち着いて。私は理解できないままここに参加した訳ですが、これを機会に理解して帰りたいと思っています。

政治家C : あんたは観客か!何をしに来たのだ!そんな姿勢ならこの仕事は断りなさいよ!

有名作家A: 私もなかなか自分の時間がとれない身なんですが、先日たまたま雑誌に目を通していると「七人の筆侍」の記事を見つけましたよ。彼らわりと格好良いですね。

作曲家B : Aさんその雑誌を今度見せてください。

評論家D : あのね、ボクはそんな格好とか見た目の問題より彼らの侍精神のことを言っているんですよ!

エッセイストE: 挿絵を描くのに侍精神とか武士道とかたいそうなものが必要なのかしら。

映画監督F: 侍精神は職業に関わらず、日本男児たるものにおいて必要不可欠なものだろう。

女子学生G: なに言ってんの〜。意味わかんなーい。

政治家C : 誰だこんなオンナを呼んだのは!

エッセイストE: まあ!女性蔑視だわ。アナタみたいな男がいるから日本の政治がダメなのよ。

政治家C : なんだとそこのオンナ!もう一回言ってみろ!

評論家D : おい!喧嘩ならよそでやってくれ!今我々は「七人の筆侍」について考えてるんだ。筆侍は侍精神を持っているのか否か。まずそれについて話していただきたい。

女子学生G: その“持っているのか田舎”って何なの?意味わかんなーい。

エッセイストE: ・・・・・。

作曲家B : 本人たちが言ってるんだから侍精神持ってるんじゃないかなあ。よくわかんないけど。ハハハ。

女子学生G: 持ってるんでしょ〜。イイじゃんそれで。

政治家C : さっきからうるさい。大人の話に口を挟むな!

女子学生G: ちょーウザーイ!このオヤジ。

映画監督F: 僕は筆侍を信じるよ。クライアントの指図で描き直しなんかしないで見事切腹すると信じてるよ。そう信じたいね。

政治家C : 本当に切腹すると言うんだな。それなら見上げた根性だ。

エッセイストE: 挿絵の描き直しくらいで切腹なんてありえないわ。非常識よ。

評論家D : ボクもそう思いますね。まさか切腹はしないでしょう。ボクは信じられないなあ。

作曲家B : よく知らないんですけど、彼らの切腹は筆で腹を?資料には刀の代わりに筆を持ってるって書いてありましたよ。

女子学生G: 筆で切腹できるわけないじゃん。バーカ。

有名作家A: もう切腹するかどうかなんてどうでもいいじゃないですか。私も時間のないことだし余計な話の展開はやめましょうよ。

評論家D : そんなこと言ったら話にならないでしょう!

政治家C : 彼ら筆侍にそれほどの気概があるというなら、わたしが介錯人をつとめてもいいぞ。ムハハ!

映画監督F: そのカット、僕に撮らせてほしいなあ!刀振り上げたところをズームでいくよ。

作曲家B : BGMはまかせといてください。尺八なんか入れましょう。

エッセイストE: ふざけないで!気分が悪いわ。帰らせていただきます!

有名作家A: あ、それなら私も時間がないので帰らせていただきます。

評論家D : 何ですかあなたたち!これも仕事でしょう。最後までいなさいよ!

女子学生G: あーっ、筆侍の人だ〜。

※突然スタジオへ当人の筆侍がやって来た。

評論家D : ちょうどいいところへ来た!
筆侍さん、答えてください。あなたたちは侍精神を持っている挿絵師と言いますが、クライアントに描き直しを指示されればどうします?。侍らしく切腹するんですか?それとも侍精神に反して描き直し?もしくはおめおめと修正に応じるんですか?
どうなんですか!


筆侍   : 描き直しますが・・・。


(一同) : ・・・・・。

      
その拍子抜けの一言にスタジオの誰もが言葉を失ってしまった。
一言で多人数を制すとは・・・。
しかも筆も抜かずに!
この気迫、これまでありとあらゆる修羅場をくぐり抜けてきたと窺い知れる。
恐るべし筆侍!!


筆侍   : あの…ちなみにその場合、修正代とか出るんですかね?
少しでも出るととありがたいのだが。近頃絵の具代も馬鹿にならないんですよ、これが。ハハハ…。
ところで、今日のギャラは取っ払いで・・・。そういうことはちゃんと決めておかないとアレでしょうし、「武士は食わねど」って言うけどやはり食わないとねえ・・・。それから弁当が余っているのならもらって帰っていいですか?助かるなあ。ハハハ…。




女子学生G: サイテー。


●ありがとうございました。(司会進行役・田原総二郎)


(次のテーマへつづく)。






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