●展示風景
|
|
【DESIGNMAI 2003出展について】 ドイツの首都ベルリン。第2次世界大戦後、形態の全く違う東西ふたつの国に分断されてしまったドイツ。13年前にようやくドイツが統合されるが、経済復興は長期に渡り苦難を強いられた。その中で首都として明らかに他のヨーロッパ都市に比べ途上段階であったベルリンが行ってきた政策はアーティスト達をはじめとする他地域からの移住者との共生であった。発展するベルリンの中でアーティストが主体となって行われた企画がDESIGNMAI 2003であった。ベルリン市内にあるあらゆる施設などがこのDESIGNMAI 2003に参加した。そのひとつであるKunstfabrik(芸術工場)と称される建物に40以上のアトリエが入っている場所がある。そのひとつであるGARDROBE23というグループが開く展覧会に参加させて頂いた。Kunstfabrikはベルリンが東西に分断される前は縫製工場だった。やがて戦争が勃発し、敗戦。東西に分断されている間は旧東ドイツ軍の監視を目的とする建物として利用された。つまりこの建物に沿ってベルリンの壁が建てられていたのだ。その名残があちらこちらで見られる建物に2002年度岡山県犬島で行われた維新派の公演中に民家を借りて開かれた作品展の大型ポスターを展示した。去年は『桃太郎』が題材であったのだが、ドイツ人にどこまで理解してもらえるか不安はあった。しかし初日からそのような不安は一掃された。来場者の数の多さも然ることながら、反応の良さに驚いた。来場者は”筆侍”という説明に大きくうなづいて興味深げに聞いていた。その中に「ドイツでいうRitter(騎士)ですね」と話される人がいた。「ヨーロッパでも日本で生まれた侍の歴史に類似したものがあります。ヨーロッパでは宗教的儀式に騎兵達が関与していく事によって確固たる身分を得た”騎士”という存在があったんです。その騎士こそが日本でいう侍ではないでしょうか?」興味深い話は尽きることはなかった。ヨーロッパ各地にいた騎士が存在していたが、このように現代のアーティスト達が中世の騎士に自分を投影するという試みはヨーロッパ人達には大変面ユニークだったようだ。 「堀江ジャンクション」編集部:永原達哉 |